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2009.02.06

楽しい楽しい「感傷旅行」

私は初日に行きました。完成度より一発目に出す瞬発力や勢いを感じたいので。

今回はゲストも無しで昇太さんが一気に四席。いつもは最初は私服で出て来て話しているけど、今日はもう着物姿で登場。今日の会の趣旨や(いつもこんなことをやっているわけじゃない!というのを何度も強調)、自宅から持参したというステレオ1号で「ナオミの夢」をかけたりして始まり。

「マキシム・ド・呑兵衛」「パパは黒人」仲入り「戦後開封史」「ハワイの雪」の順番で。「パパは黒人」は設定が馬鹿馬鹿しすぎてツボった。靴墨ぬって黒人て、道挟んでるからって間違えるなんて、呑気すぎ。赤い柔道着に白い帯って…と思った瞬間に「サンタだな」って台詞。至る所に自分が思う昇太さんらしい間とか台詞が沢山あって楽しかった。「マキシム~」も「パパは~」どっちもバカバカしい噺なのだけど、続けて聞くと当たり前だが昇太さんと白鳥さんとではバカバカしさのテイストが違うんだなあってのが良くわかって面白い。

どっかのまくらで前座の頃に遊吉師匠とローリングストーンズのライブを見に行った話や(遊吉師匠の「浮かれてるね」の台詞がナイス)、八代目柳橋師匠の披露目パーティーに来ていたお客さんの話をしていたのだけど、昇太さんが年齢不詳すぎてお二人の師匠が先輩に見えるけど、ほぼ同期なのだよね。ついついまだ「柏枝くん」と呼んでしまっちゃう昇太さん。

仲入り終了近く、まだお客さんが戻りきっていないのに昇太さん登場、急ぐお客さんとは裏腹にダラダラののんびり「こういう対応力がいいですよねえ」とニコニコしてる。「芝居とかだったらすぐ始まっちゃう」そりゃそうだ。「戦後史開封」はずーっと頑固そうなジジイが、無理矢理孫に金を渡して話を聞かせてる馬鹿馬鹿しい噺なのだけど、最後の最後に「えっ…」って展開。古典なんかでもよくある手だけれど、題材が題材だし昇太さんの新作ってことで、結構驚いた。場面が変わった瞬間に会場の空気の温度も変わった気がした。買いかぶりですか、贔屓目すぎますか。柳昇師匠の弟子ならではの噺なんじゃあないかと。

最後は「ハワイの雪」。想像していた以上に似合ってたよ!昇太さんの演じるジジイキャラが好きなので楽しかったし、ふっと聞かす落としたトーンでの話し方が素敵で素敵で。喬太郎さんがやると孫のキャラも随分たってるけど昇太さんだと孫にはあんまり比重がないような。チエ(チヨ?)のしんみりぶりも似合うしハワイに行ってからの場面では、別に「泣かすぞお~」というそこまで濃い感じではないのに、視界がジワジワとぼやけてきちゃったよ!待って、ここ別に泣くところじゃない?!アタイいちいち感激しすぎ?

普段馬鹿キャラばかりが目立つ昇太さんの高座だけど、こういうしんみりものは本当にしんみりしてきちゃう。素敵だった。サゲが変えてあって、これを私と一緒に見ていた友人は別の解釈をしていたのが面白い。本当はどっちかな。どっちでもいいか。しんみりしてる中にも「鎌首アタック!」なんというオリジナルなアホシーンも。だから素敵なのだけど。なんだよ鎌首アタックって。そういえばご自分で「パパは黒人」について「それはないわなってタイトル」って、確かに。

本人作と他人作、色々聞けて大変に充実な「感傷旅行」。途中途中に挟まれた、初演(2004年)の時に流したというビデオがまた面白く。笑点に出ていて顔の売れ度は全国区、お金はあるし、落語芸術協会では理事、チケットの売れ行きなんて気にすることなんかなくなったような売れっ子でも、昔はあんな仕事もちゃんとしていたと(子供と一緒に歌ったり、変な小芝居のCM等々)。若いけどあんまり変化のない談春さんとか映ってた。あと、まくらで話していた「あ、今すごい本当の事を」って台詞も印象的。金髪さんの事とかではなくてね。

いつもなら、にこやかにお辞儀したりVサインを出してながら幕が下りるまで高座に座ったままなのに、今日はステレオ1号で音を流しつつ、挨拶をしたらすーっと袖に下がっていってしまった。何か思うところがあったのかなあなんて。

終わってから友人達と話していて、彼女達が言っていたのだけど、今日はお爺さんと孫ものばっかりだったよねと、確かに。「パパは~」も父親と娘だし。横並びの関係ではなく(友達とか同僚とか)、縦のしかも血縁での縦での噺ばかり。そういう心境だったのかな(どういう心境だ)。あ、今でなくて2004年の再演だから2004年のその時に。

あとやっぱり昇太さんの着物姿ってカッコイイなあと。収まりがよくて柔らかくて、あんなにも動き回るし内容も内容だけど、着物姿は「静」って感じがするのがいい。

浮かれていたからハンドタオルも笑点のカレンダーも買いました。楽しい落語会の後に友達とご飯を食べながら、どうでもいい話をするのも又楽し。

あ、(思い出してばっかりですが)。
自分は人より早く真打ちになってしまって、色々試行錯誤する時間が少なくて、どうしても確実にウケるネタばかりをかけがちで、冒険するような機会がなかなかなかった、というような話が面白かった。売れれば売れるだけ、期待されればされるだけ、確実なものを提供しなくてはというプレッシャーというのは、私たちが思う以上に厳しいものなのかなあと。

今度の下北沢演芸祭の押しはぴろきさんだと。ナイツに続く芸協が放つ第二の刺客だと。芸協の話をするときって昇太さん嬉しそう。とりあえず週末はチケット祭り。

しかし、こんな長い日記をみんな最後まで読んでるのか?

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